私の作品解説(3) studio F (池袋)
2007.01.09
この作品はインテリアの部門に掲載しておりますが
実験的な家具デザインでもあります。
 studio F(池袋) 画像を拡大
2000年に開催された「第15回国民文化祭広島2000」
という大きな公共のイベントの中心企画の一つとして、
婚礼家具の産地である広島県府中市の地場産業の
低迷から新たな市場の開拓を目的として企画された
「未来の木製家具デザインコンペ」に応募し入選した
作品です。
このコンペでは入選した作品は府中市の協賛により
実際に作品を製作し「第15回国民文化祭広島2000」
にて展示されることになっており、展覧会終了後には
実際に製作した家具がデザイナーに贈呈されること
になっておりました。
この作品の名称は「studio F」ですが、実は私のスタジオ
「FULL PRODUCT DESIGN STUDIO」から取った名称で
ありまして、実際に入選した際に作品を進呈されることを
念頭に置き作品をデザインしました。現在は実際に私の
スタジオに設置してあります。
この当時の私は「可変性」「双方向作用」といったことを
色々な作品のデザインを通じて考えていましたが、その
一つがこの作品になります。
「建築」「インテリア」「家具」といったものは一般的には
物質としての存在感とともに固定化されたモノという
イメージが思い浮かぶかと思います。その概念を何とか
払拭したいという当時の自分の思考が伺える作品です。
また家具の「高さ」「位置」と「機能」との関係を積極的
に考えたことを思い返しました。
積層している板は厚みが50ミリなのですが、例えば
平均的な大人の身体サイズで言えば高さが400ミリ
の位置の板は椅子に、700ミリの位置の板はテーブル
になり得るといったことを具体的にイメージしていた気
がいたします。
家具を使う時、自分で家具を動かし形を自由に決定
できる、そのような家具の在り方があれば良いなと
いう思いは今にも通じています。
最後に作品のコンペに応募した時のコンセプトと
審査講評を掲載いたします。
○コンセプト
従来の家具はその形態のもつ限定された機能としてしか使用する
ことが出来ず。ライフスタイルの変化に対応することが出来なかった。
暮らしの未来を考えた時に、可動性のある多用な使い方の可能な
家具の必要性を感じた。動かすこと。自らが家具を動かすことにより
家具との新しい関係性の見えてくる。
そのような「対話の出来るような家具」をデザインした。
○審査員講評
室内空間での家具の大きさやボリューム感の在り方を単板の
可動積層によって実験的に表現したコンセプトデザインとしての
魅力があります。実際にこの作品を使用するのは難しいのですが、
この作品には室内での家具の立体としての容積や視覚的ボリューム
感を使用条件やその時の気分でどんどん変化させられる家具という
ユニークなアイデアが潜んでいます。
協賛:広島県府中市
製作:宇野木工株式会社(広島県府中市)
長谷川聡
次回の「私の作品解説」はoffice S (九段下)です。
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