見栄マーケティング(1)
 国内線にファーストクラス

2007.01.25

JAL(日本航空)が国内線でファーストクラスを導入するという。

通常の座席料金に一万円プラスという国内線最高の価格設定は、
千円プラスという『割安な上級座席』クラスJの導入によって
ANA(全日空)に流れてしまった『本物の上級席』にこだわる
ワガママな客を呼び戻すのは勿論のこと、
もともとANAのスーパーシートプレミアム(プラス5000円)では
満足のいかないお客をもつかんでいこうという目論見なのだろう。

現在の『クラスJ』はそのままに、そのさらに上にファーストクラス
を設けるというのだが、国内線でファーストクラス、ですか?

羽田から大阪まで一時間。
札幌や福岡まで飛んでも、せいぜい二時間。

そこまでこだわらなくても、よさそうなものだが。

客室乗務員の友人いわく、クラスJでは普段からビジネスクラスや
ファーストクラスに乗るのが当たり前になっているワガママな乗客
(主に会社の経費で乗る社用族)には不満だったらしく、例えば
上級座席なのに「上着を預かってくれない」というのも
「大きな不満」の一つだったらしい。

確かに、エコノミークラスでは「上着を預かって欲しい」とお願い
しても断られるのに、ビジネスクラスでは頼みもしないのに
向こうの方から「お預かりします」と言ってきてくれる。
彼らにとって、その差は気分的には大きいのだろうが、
とはいえ所詮は短時間の国内移動。そんなに大した
問題ではないと思うのだが。

座席の広さに関して言えば、何も余分にお金を払わなくても、
出入口横の客室乗務員と向き合う位置にある座席は、普通
料金で乗れて、上級座席よりも前方が広くて足も伸ばせる。

(ちなみに、私はここを好んで乗っている。中には客室乗務員と
向き合うので、目が合って恥ずかしいということを言う人もいるが、
私は大抵本か雑誌を読んでいるので気にならないし、この席
での乗務員との『ご対面』を楽しみにしているマニアもいるだろう)

機内で出る食事に関しては、各社素材や調理方法などを強く
アピールするが、とはいえ機内食にそれほど期待できるはず
もなく、そこまでお金をかける意味があるのか?

そんなに弁当にこだわるなら地上で自分の好きな弁当を買って
機内に持ち込めばいいし、食事にとことんこだわるなら、地上に
降りれば飛行機で余分に払う金額の半分以下で、それ以上に
美味しいものが食べられる。

それでも上級座席こだわる人がいるのは、やはり人間の持つ、
見栄のなせるワザだろう。

顧客の見栄をどうやってくすぐるか。
これはビジネスにおいては、かなり重要な意味を持つ。

顧客の見栄を徹底的にくすぐる戦略。
これを私は『見栄マーケティング』と呼ぶ。

このコラムでも数回に分けて『見栄マーケティング』について
書いていきたいと思う。


石原功

ワガママ
ロンドンにWagamama(ワガママ)というレストランチェーンがあり、
ロンドンの高級エリアknightsbridgeにある高級百貨店Harvey Nichols 
の中に、「ワガママ」とカタカナで書かれたロゴを発見した時は、
そのあまりにも不釣合いな状況に笑った。
ただ、ここは店名だけで、店は飛行機のファーストクラスのような
ワガママは聞いてくれないようで、価格も比較的安い値段で和食風
の料理を提供しているらしい。(基本的に海外では日本食は食べない
ので、自ら体験したことはない)店内にいるお客も現地の人が多いようで、
そのほとんどは店名の意味すら理解していないはずだ。

このコラムに関するご意見・ご感想等、及び
フィールドストーンに関するお問い合わせは
こちらよりお気軽にお寄せ下さいませ